任意後見制度と法定後見制度のちがいは?
先日「任意後見制度の概要」という研修を受講しました。
講師は公証役場の公証人の先生でした。
成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度は、判断能力がすでに喪失・低下されている方が利用する制度です。
それに対して任意後見制度は、ご本人がお元気で判断能力がある方が利用する制度です。
認知症が進行されていたら任意後見制度は利用できません。
また、法定後見制度は家庭裁判所へ申立てるのに対し、任意後見制度は公証役場で公正証書により契約を締結することになります。
法律的な話をすると、任意後見制度は「任意後見制度に関する法律」に定められています。
この法律は全部で第一条から第十一条の条文があり、第三条で、公正証書で契約書を作成する必要があることが定められています。
(任意後見契約の方式)
第三条
任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。
任意後見契約をする際には、公証人が関与して公証役場で契約の締結をすることになります。
ご本人がこの人に任せたいと思える人とこういったことをお願いしたいという内容で契約することになります。
ここが任意後見制度を利用するメリットだと考えています。
法定後見制度では家庭裁判所が事情を考慮した上で、本人をサポートする方を選任といいますが、選ぶことになります。
申立書には、「成年後見人等候補者」を□家庭裁判所へ一任、□申立人、□申立人以外の以下に記載の者として、チェックをいれる選択肢が3つあります。
□申立人以外の以下に記載の者にチェック☑をいれて、住所、氏名、生年月日、本人との関係を記載する項目があります。
しかし、本人を取り巻く状況、財産内容によっては申立書に記載した「成年後見人等候補者」が必ずしも選任される訳ではありません。
それに対して、任意後見制度は自分がお任せしたい人との契約になり、その方にお願いすることになるということが法定後見制度との大きな違いになります。
ただ、自分の財産や今後どのように過ごしたいかをその方にお任せすることになります。
誰に何をお願いするかはとても重要なことで、とても信頼できる人でないと難しいと思いますので、慎重に検討されることをおすすめします。
次回は、実際に利用するまでの流れなどをご紹介していきたいと思います。