「遺言執行者」って誰がどうやって決めるの?

「自分の亡き後、財産を誰にどう残したいか…」

そんな想いを込めて書くのが遺言書ですよね。

でも、書いただけで終わりではありません。

その遺言書の内容を、実際に実現してくれる人が必要になります。

それが「遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ)」です。

今日は、この「遺言執行者」がどうやって決まるのか、民法の条文(第1006条)を元に解説していきます。

そもそも遺言執行者ってどんな役割?

簡単に言うと、遺言執行者は、亡くなった方(遺言者)の遺言書の内容通りに、預貯金の解約や不動産の名義変更、財産の分配など、様々な手続きを進めてくれる頼れる存在です。

相続人同士の話し合いがスムーズにいかない場合や、手続きが複雑な場合に、遺言執行者がいるととても助かります。

じゃあ、その遺言執行者は誰がどうやって決めるの?

民法第1006条には、遺言執行者の指定についてこう書かれています。

(遺言執行者の指定)
第1006条 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。

ちょっと法律の言葉は難しいですよね。

これをかみ砕いて説明すると、遺言執行者を決める方法は大きく分けて3つ方法があります。

方法1:遺言書の中でズバリ指定!

これが一番シンプルで分かりやすい方法です。

遺言者自身が、遺言書を書くときに「私の遺言執行者には、長男の〇〇を指定します」とか、「信頼できる友人の〇〇さんにお願いします」というように、具体的に名前を書いて指定します。

もちろん、一人だけでなく、複数人を指定することも可能です。(民法第1006条1項)

メリットとして…
・遺言者が最も信頼できる人に託せる。
・相続開始後、スムーズに手続きに入れる。

方法2:信頼できる第三者に「選んでね」とお願いする!

遺言書を書く時点では、誰に遺言執行者をお願いするか決められない、あるいは専門家にお願いしたいけど具体的に誰がいいか分からない、という場合もありますよね。

そんな時は、遺言書の中で「私の遺言執行者の指定は、〇〇さん(例えば、長年の付き合いのある税理士さんや親友など)に委託します」というように、遺言執行者を選んでくれる人(第三者)を指定することができます。(民法第1006条1項)

方法3:家庭裁判所に選任してもらう!

では、遺言書に遺言執行者の指定がなかったり、指定された人が亡くなっていたり、あるいは引き受けることを断ってしまった場合はどうなるのでしょうか?

そんな時は、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうことができます。

相続人や受遺者、その他利害関係のある人が、家庭裁判所に「遺言執行者を選んでください」と申し立てることで、裁判所が適切な人(多くは弁護士や司法書士などの専門家)を選任してくれます。

メリットとして…
・遺言執行者が決まらないという事態を避けられる。
・中立的な立場の専門家が選ばれることが多く、公平な手続きが期待できる。

ポイントは「遅滞なく」!

民法1006条の条文の中に「遅滞なく」という言葉が何度も出てきますよね。

これは「正当な理由や社会通念上許容される範囲で、できるだけ早く」という意味合いです。

相続手続きは、放っておくと色々と問題が出てくる可能性があるので、速やかな対応が求められているんですね。

最後に…

遺言執行者は、あなたの最後の想いを形にするための大切な役割を担ってくれます。

遺言書を作成する際には、誰にその大切な役割を託すのか、そして万が一の場合に家庭裁判所での選任という道もあることを知っておくと安心です。

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