法定相続人の数について
相続手続きでまず最初に行うことは、財産調査と相続人の特定です。
相続人の特定は戸籍を集めることからはじめます。
以前税理士の先生の研修で、「法定相続人」の数について相続税法と民法ではカウントの仕方が異なるという講義がありました。
民法第939条には、相続放棄の効力について次のとおり定められています。
(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
こちらの民法に対し、相続税法上は相続放棄をした相続人も法定相続人の数に含まれます。
当初の相続人全員が相続放棄をし、相続権が次の順位に移ったとしても、基礎控除等の算定に用いる法定相続人の数は相続放棄前の人数となります。
また、養子の数についても、民法においては、養子が法定相続人となることを制限する規定はありませんが、相続税法上は租税回避行為を防止するため、養子の数の制限について次のとおりの規定が設けられています。
1.「法定相続人の数」に含まれる養子の数
1 | 被相続人に実子がいる場合 ⇒1人まで |
2 | 被相続人に実子がいない場合 ⇒2人まで |
2.相続税法上、実子とみなされる者
相続税法では、次にあげる者は、養子であっても実子として取り扱います。
1 | 被相続人との特別養子縁組により、被相続人の養子となっている者 |
2 | 被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となっている者 |
3 | 実子若しくは養子の代襲相続人 |
相続税法上は租税回避行為を防止するためにこのような取り扱いとなっていると考えられます。
次回は、相続関係図を用いた例題で民法上の相続人、相続税法上の相続人などをわかりやすく考えていきたいと思います。